今週の小ネタ
2008年8月
SATA HDD のコネクタが壊れた
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しばらく使っていなかったキューブPCを久しぶりに取り出して電源を入れてみたら、 BIOS の起動シーケンスで止まってしまう。しばらくケーブルの接続ミスなどを疑って差し直したりしてみたものの、 まったく改善されない。もしやと思い、蓋を開けてみたらまぁ、メモリは外れているは、 HDD のケーブルは抜けてるはで、こりゃぁ起動しないのも道理だ。 引っ越しのときに衝撃を受けたかな。で、HDD のコネクタを差し直そうとして、 とんでもない事態になっていることを発見、思わず悲鳴を上げてしまった。 HDD の SATA コネクタが壊れていたのだ。

上が正常、下が破損したHDD。
これじゃぁ、HDD内部に何の破損もなかったとしても、もう使いものにならないではないか。 それ以前に、中のデータを救い出す術がない(ないこともないけど、非常に面倒)。

ところが、破損部を詳しく見ると、壊れているのは樹脂製の凸部が折れたのみ、 金属端子そのものは、そのまま空中に浮いているのだ。ということは、 金属端子部だけしっかりとつながれば、一応はまだ使えるということか? という訳で、何の手も加えずそのまま SATA ケーブルを差して、 端子がしっかりと接触するように角度を与えてやって電源を入れてみたところ、 なんとまぁ、正常にアクセスできましたよ!
実際のところは、エラー訂正の機構に支えられてなんとかアクセスできている、 という状態なのかもしれないけど (後で SMART 情報でも見てみようか)、 ひとまず OS が起動して中のデータを吸い出せる程度には使えている。 うまく折れた部分を補ってやれば、常用も可能かもしれない。
それにしても、HDD 本体の方を折れる危険性の高いオスにして、 いくらでも交換可能なケーブルの方をメスにするというデザインはいかがなものか、 とは僕も思うけど、なかなかどうしてオスも意外にタフなのだった。 メスは機構上、緩くなってきた時などのメンテナンスが極めて困難なのに対し、 オスの方は機構も単純だからいじりやすいというメリットもあるのだった。 嫌だなぁ、コネクタの話ですよ。
OcREILLY お蔵出し開発会
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前述の「普通じゃない勉強会」 の後、橋本君らを自宅に招いて、久々の OcREILLY 的活動をしました。 題して「OcREILLY お蔵出し開発会」。 普段、ネタを出すだけ出して作らなかったネタを、ここらで一気にまとめて作ろうぜ! 出来上がったモノは片端からビデオに撮ってニコニコ動画にアップロード! という事で、橋本君と同僚の上村君、電通大小池研の学生さんとで、 二泊三日の蔵出しをしてました。
ただ、二泊三日といいつつも、参加者全員が「普通じゃない勉強会」にも出席していたためその疲労も手伝い、 実質一日弱程度しか時間が取れず、どれも完成には至らずという低鱈苦。 結局二日目の夜にみんなで飲みながら晩飯を作っていたときに開発された、 「銀火丼のマヨネーズのせ」が唯一の完成作らしい完成作というオチでした。

ちなみにこれは、かつて作った「銀火丼」 に、「カツオにはマヨネーズがあう」という美味しんぼ情報にヒントを得て、 学生さんが即席でマヨネーズを作り出して (家にはマヨネーズを常備していないので) 乗せてみた、というもの。銀火丼に欠けているこってり感がいきなり補完され、 滅法うまかった。
コンピュータビジョン・拡張現実感に関する普通じゃない勉強会
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先日、工学ナビの橋本君が開催した、「コンピュータビジョン・拡張現実感に関する普通じゃない勉強会」に出席してきました。
橋本君が主催、出席者の多くがニコニコ技術部界隈ということもあって、 若い人がほとんどかと思いきや、会場の一画は大学の先生(というかよく知った面々)で占められているし、 元MR研関係者や携帯電話関連の企業の研究者はいるわで、 なかなか不思議な空間と化していた。
それにしても、Virtual Reality とか Augumented Reality とか Mixed Reality なシステムを誰でもポンと作ってニコニコ動画で映像を公開するような日が本当にやって来たんだなぁ。 ARToolKit なんて、源流となった Matrix から数えると 12年前の技術な訳で、 それが今になって急速に広まるようになったというのは、一体どこに原因があるのか。 「電脳コイル」というコンテンツだけで説明できるものではないだろう。 我々が学会でやっている事って何だろう、ということにもなってくる。
という訳で、長年 WISS は研究者が集まって議論を交わす濃密な空間を醸成してきたのだが、 それだけでなく、広く社会一般にその成果を還元しようではないか、 という内容の企画を現在プログラム委員長の小池先生が中心となって画策中である。 どんな形式の企画になるかも未定だが、誰でも気軽に参加できるお祭のような企画にはしたいと思っている。
詳細が決まり次第、告知を出していきますんで、乞うご期待。
リズム天国ゴールド
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「リズム天国ゴールド」(amazon) も、パーフェクトがあとみっつというところまで進んだ。 残るは「ピンポン2」「リミックス8」「リミックス10」。
ゲーム自体は凄く面白いです。遊びの要素満載だし、とにかくやっていて楽しい。 一方で自分のリズム感の悪さも浮き彫りになるのが辛いところですが…。 機械が刻む一定のリズムに合わせて叩き続けることがどうも苦手なようです。 高橋幸宏はやはり偉大だった。
ところで、ゲームを進めていくと遊べるようになる「リズムおもちゃ」というのがある。 ゲーム要素はなくて、鳴らして遊ぶまさにおもちゃなんだけど、このうち「電話」というやつが、 プッシュボタンを押すと音が鳴るだけで、いまひとつ何が面白いのかよくわからなかったんだけど、 先日やっとこさ「ああ、そういうことか!!」と、これの存在意義を発見することができました。 最近、この手の隠し要素はたいていウェブからの情報にお世話になっていたので、 久しぶりの自力発見がちょっと嬉しかった。
何のことかよくわからない方は、「名刺」「ライブコンテスト」をよーく注目。 「ゐあひ斬り外伝」にも出てくる。他にもあるかもしれない。
学研「大人の科学マガジン」のシンセサイザーを演奏してみた
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学研「大人の科学マガジン別冊シンセサイザー・クロニクル」(amazon) についてくる、1 VCO シンセサイザー「SX-150」を演奏してみた。
演奏インタフェースはカーボンパネル一発、つまりドレミの音階を刻まない連続音階なので、 テルミン的演奏にならざるをえない。それでも頑張って弾いてみるとこんな感じ。 ちなみに、つまみをいじりながらの演奏をする場合は動画のような位置で演奏するのがやりやすい。
ついでにニコニコ動画にも投稿してみた。これがニコニコ初アップロード。
「世界はあたしでまわっている」
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なんだか知らないけど、Amazon で「DS-10」とか「リズム天国」を買おうとしていたら、 唐突に推薦されたのが、「世界はあたしでまわっている」(amazon) というゲーム。 ふとカスタマーレビューを読んでみたら、タイトルやパッケージデザインからは意外なくらいの好評価を得ていたので、 つい買ってしまった。
やってみたら、たしかに意外に面白かった。一番の特色は「わがまま」システムで、 これは、ポイントの許す範囲内でゲームの進行を自分に都合のよいようにねじ曲げることができるというもの。 言ってみれば懐しの「ワープス」のヒーローポイントのようなものですが、 地形を変えたり敵を追い払ったり、果てはクエストを強制的にクリア扱いにしてみたりと、 強烈な「わがまま」が許されるようになっている。もちろん、ゲーム自体はそのわがままを使うことが折り込み済みなので、そんなに楽には進行しないのではあるが。 あと、もうちょっと強烈なわがままがあれば面白いのだが、結局魔法と同じような扱いだとも思える程度のものしか用意されていない。
こういうワンアイデアものが出せるのが、DS というプラットフォームの強みなんだなぁ。
関係ないけど、Google で検索したら同じ Amazon の取り扱い商品でも、 こんなの が引っかかった。
2008年7月
野球選手を測る指標
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ペナントレースを勝つ上で、チームにどんな選手を集めれば勝てるのか? という問題に対して、独特の選手評価手法を取り入れ、 少ない資金にもかかわらずプレーオフの常連にのし上がったオークランドアスレチックスの取り組みを題材とした「マネーボール」(amazon) を読了。 結構前に話題になった本なんだけど、急に読みたくなって取り寄せたのだ。
読みたくなったきっかけの一つは、ビジネスジャンプで連載されていた異色の野球漫画「ワンナウツ」(amazon) を久しぶりに読み返したから。 「ワンナウツ」自身とても面白い野球漫画なのでお薦めなのだが、それはさておいてこの漫画の中で、打率ではなく出塁率こそが打者の能力を図る上で重要な指標である、 という話が出てくる。
「マネーボール」でも、アスレチックスがドラフトやトレードで選手を獲得する上で最重要視しているのが出塁率だった。他の球団が、打率や本塁打数など一般的に知られた指標を元にして、 高い金を出して「優れた」選手を買ってくるのに対し、 ゼネラルマネージャーのビリー・ビーン率いるアスレチックスは、 アスレチックス独自の評価法では有能と評される割には世間での評価の低い、 「お買い得」な選手を格安で獲得するのだ。安くて有能な選手を集めてこられるから、 厳しい資金の制約にも関わらずアスレチックスは勝ちまくる。 そのうち、アスレチックスが獲得した選手の優秀さが認められてくると、他球団に高値で放出する。 その際、値段を吊り上げるためにわざわざセーブポイントのようなわかりやすい指標をあらかじめ稼がせておくといったことまでやってのける。ヤンキースがアスレチックスから獲得したジェイソン・ジオンビーなどはその最たる例だ。
このアスレチックスのやり方を踏襲したのが、ボストンレッドソックスである。 こちらの方は NHK の番組でも取り上げられていたので知っている方も多かろう。
番組で面白かったのが、レッドソックスは戦略として、 単に「勝つ」ことを目標とするのではなく、「利益を上げる」ことを重視しているということ。 つまり、安くて優れた選手を獲ってきて勝つだけでなく、いかに観客動員を増やし、 収益を上げるかを考えて球団を運営している、という訳だ。
ここでミソとなるのは、単に無名で優れた選手だけを擁していると、 収益がたいして上がらないという点だ。ある程度はスター選手と呼ばれるような存在がないと、 グッズの売り上げや観客動員を向上させることができない。その点を加味して選手を起用しないと、 球団全体の利益が向上しないということらしい。
レッドソックスが大金を投じて松坂を獲得したのも、日本でのファンを獲得し、 放映権料やグッズ売り上げの向上を目論んでのこと。出塁率や K/BB (三振/四死球) などの指標だけでなく、「集客力」とでもいうべき指標をも評価されてのことなのだ。
この、全体での収益を向上させるための選手起用法について知りたくて「マネーボール」を読んだのだが、 残念ながらアスレチックスではそこまでは手が回らなかったらしく、 触れられていなかった。それについてはそのうちレッドソックスを研究した本が出るだろうから、 それを待つことにしよう。
このあたりの話は実のところ、「研究者の能力を測る上で最適な指標は何か」 「大学や企業の運営において、『役に立つ』研究者とはどのような能力を持つ人なのか」 という命題にもつながるんだよね。今のうちに研究しておいて損はない。
オリエント工業ショールームに行ってきた
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いわゆるラブドールの老舗、オリエント工業のショールームに、 ロボット研究者や技術者と行ってきた。 残念ながらショールーム内写真撮影禁止なので、部屋の中がどんな感じだったかを写真でお伝えすることがかなわないのだが、 とにかく、凄かった。
部屋の中には20体近くのドールが座してこちらを見つめていた。 様々な形状 (特に乳部の大きさ) のドールがあり、それらが触り放題。 オリエント工業独自開発のシリコーン製肌の触り心地を確かめてきたのだが、 なるほどたしかに、つっついたり撫でたりして気持ちのいい素材だ。 顔の造形や脚部から臀部にかけてのラインもよくできている。
が、これが本物そっくりか、と言われるとそんなでもなくて、 やはりシリコーンはシリコーンだな、という感じなんだけど、 まぁ需要的には本物そっくりである必要はないんだろうな。脳内のファンタジーを十分に満たしてくれればそれでいい訳で。
ただ、どれも重い! 34Kg とか、一般的な女性の体重に比べれば失礼なまでに軽いんだけど、 自分からはピクリとも動いてくれない 34Kg ですからね。椅子からベッドに運んだり寝返りをうたせるだけでも一苦労。 とっかえひっかえなんて絶対無理。
なお、ショールームに団体でおしかけたら、「団体でいらっしゃる時はその旨必ずおっしゃってください。普通、お客様はお一人様でいらっしゃいますので…」と言われてしまった。 一人でやってきて、じっくり説明を聞いていくものなのだとか。 いやどうもすみません。
ちなみに、持ち帰り用のカタログセットを200円出して買ってきたところ、 シリコーンの見本がついてきました。モチモチで気持ちいいけど、トック (韓国の餅) の輪切りみたい。

それにしてもこのカタログ、自宅の書類入れに置いておくのはちょっと恥ずかしい。 かといって職場に置いておくのもいかがなものか。
「まるいち的風景」
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柳原望の「まるいち的風景」が文庫化されたので早速買ってきた (amazon:第1巻 ・第2巻 )。 単行本未収録作品も今回収録されたので、単行本で揃えているにも関わらず買ってしまった。
まるいちは、あちこちの研究者(特にロボット研究者)に薦めまくったなぁ。 薦めるまでもなく業界には結構読者がいて、稲見さんもそういえば人に薦めまくっていた。 作者の柳原さんを囲んでのトークイベントなりワークショップなりをしてみたいと思っていたら、 2004年のSF大会で柳原さんを囲んでの企画があったと後で聞き、 悔しい思いをしたものだ。
今に至っても、ロボット研究者・インタフェース研究者にとっては必読の書であることに変りはない。 ただ、「行動トレース」というインタフェースが優れているから薦めているのではないことには注意して欲しい。 実のところ、人間の行動を見て学習する行動トレースという手法はあと百年経っても実現することはできないだろう。 「まるいち」のいいところは、ロボットが家庭に入り始めたときにどんな使われ方をするのか、 どんな出来事が起こりうるのかをしっかりと考えて描いているところにあるんだよね。 この手のシミュレーションは本来 SF では常套手段なんだけど、 アシモフあたりだと舞台が未来過ぎるか家庭の外だし、テーマが複雑なのが多い。 「まるいち」は、道具立てを「行動トレース型ロボット」に絞り込んであるが故に、 話の筋が明確だし、起きる事件はどれも身近な世界での事。想像力を隅々まで働かせて描いてあるので、 とても説得力があるし、そこここにそっと忍ばせてあるアイデアがまた秀逸だから、 読んでいてとっても爽快感がある。
ロボットやインタフェースの研究者で、自分が研究開発しているものが社会に、 家庭に入っていった時にどんな使われ方をするのかを、ここまでしっかりと考えて示せている人がどれくらいいるか。 少なくとも研究者はそれを考えることを試みるべきだし、 よしんばそれが苦手だとしたら、こうした具体的な状況を考えられる人と尊敬をもって接するべきだ。
「キーボード配列 QWERTY の謎」
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NTT出版から出ている「キーボード配列 QWERTY の謎」(amazon) 読了。QWERTY 配列に関してよく言われる、「タイプスピードをわざと遅くするために打ちにくい配列にしてある」 という風説を、タイプライターの歴史を徹底的に調べ、様々な資料を持ち出して否定している。 とにかく膨大な資料を調べていて面白いのだが、肝心の 「どうして QWERTY 配列はこの配列になったのか」の部分については、 結局未解明なのがどうにもこうにも座りが悪い。 ただ、この配列に至るまでの過程がほとんどタイプライターの産みの親、 クリストファー・レイサム・ショールズひとりによってなされたものなので、 彼自身が残したメモでも出てこない限り解明されることはないだろう。 あるいは、試作品を復元して、QWERTY 配列が機構上の制約で産まれたものなのか、 レイサムなりの打ちやすさを追求して産まれたものなのかを、 推測することはできるかもしれない。
という訳で肝心の謎が解明されていない点と、著者らがやたらと攻撃的な口調で 「アンチ QWERTY説」を攻撃しているのが、もやもやとした読後感を残す。 「歴史の真実を追求しようという姿勢」はご立派ですが、詰めが甘かった。