2004年11月の小ネタ

1日 [id]

今日は朝から小雨がパラつく。山の上はだいぶ煙っているようだ。

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午前のワークショップは Tom Schouten による、Pure Data Packet (pdp) という Pure Data 上で二次元画像を扱うための拡張について。 実際のところ、pdp は画像データにとどまらず、あらゆるメディアを扱えるように設計されている。 現在では pdp の後継の "Packet Forth (PF)" に移行しつつあるそうだ。 pdp の様々な機能は libpbp というライブラリに格納され、それらをどう繋げて使うかを記述するための言語が Packet Forth という仕組だ。 PF はその名が示す通り、FORTH 言語を元にしている。Tom によれば PF のアイディアは colorForth に影響を受けているそうな。

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FreeJワークショップはかなりの盛況

午後は、Jaromil と Silvano による FreeJ のワークショップ。 VJ ツールとしてかなり作り込まれたソフトウェアで、 アルファブレンディングやクロスフェードはもちろんのこと、 様々なリアルタイムビデオイフェクトが搭載されている。on-the-fly にパーティクルアニメーションを生成するプラグインもある。

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今回の piksel ワークショップでは、ビデオイフェクトプラグインの共通仕様である LiViDO の仕様の決定と実装が課題とされており、 午後はそのミーティングが部屋の片隅でもたれた。 が、この一年間なかなかまとまらなかった仕様が急にすんなりと決まる訳もなく、 いろいろともめる。特に、ノンリニア編集ソフトからも使いたいという要望に対して、 機能拡張を続けているとシンプルさがどんどん失われていくとの反発がとても強い。 その場にいる人間でノンリニア編集の機能を持つソフトウェアを作成しているのは LiVES の作者 salsaman だけなので、ノンリニア側の立場は弱い。メールで議論に参加しているノンリニア側の人間である Andraz は、毎回ミーティングのまとめをメールで読んでは「なんでこんなおかしな仕様になるんだ!!」 と怒るという展開がこの後もしばらく続いた。

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夜の Landmark でのセッションは、飯尾淳による MAlib についてのトークに続いて、slimboyfatboyslim の GeoLeds プロジェクトの説明。

Antti はフィンランドから来ていて、デモ文化の真っ只中で育っている。 意外にもデモシーンと VJ シーンはあまり重なりがないそうで、両方やっている人間はそれ程多くないらしい。 右の写真は Antti が使っている MIDI コンソール。ほとんどこれで操作しているそうな。 僕も買おうかな。

2日 [id]


BEKオフィスからブリッゲンを臨む。素晴しい天気。

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今日のワークショップは、Pure Data 上の OpenGL 拡張である GEM の MacOS X 移植を担当している James と、Linux 用の VJ ツールである VeeJay の Niels の番。 GEM は Pure Data の画像表示用拡張として長い歴史を持っており、 GEM を使ったアプリケーションも豊富に開発されている。ただし、そこそこ OpenGL の知識がないと若干使い難い。 最近は 2D 画像の取り扱いもサポートされており、テクスチャを使った面白い映像も作れるようになっているようだ。 OpenGL 2.0 でテクスチャの取り扱いが柔軟になったので、今後さらなる進歩が望めるかもしれない。

VeeJay は Linux 用の VJ ツールとしては比較的初期のもので、 早くから GUI のサポートを積極的に行っていた。もっとも最近ではあまり GUI のサポートには熱心ではないようで、むしろネットワーク経由での遠隔操作に力を入れているようだ。 また、Pure Data との連携も Matthijs により進められている。

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LiViDO のパラメータパッシングについて、ちょっと前までは Lisp 的なリストによる受渡しが検討されていたのだが、 pdp の Tom により、満足なガベージコレクタやリスト操作の関数が整わない限りこのアイディアは破綻するぞ、 と異議が唱えられた。これまで、割と民主主義的というか折衷主義的に、 みんなの提案を全部なんとかして取り入れようとして前述のような結論が出ていたのだが、 これ以上折衷主義をやっていては前進しない、ということにみんな気がつくこととなった。 こういう時に、Tom の一匹狼的な姿勢が頼もしく見える。

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Landmark では今日は Creative Commons UK の Prodromos Tsiavos による講演が最初に予定されていたのだが、あちこちで飛行機を逃がしたらしく、かなり遅れている。 順番を入れ換えて、Fijuu の delire と pix がプレゼンテーションをすることになった。早口でまくしたてながら、 しょっちゅう冗談を交え、時折間を入れる彼等の講演のスタイルはまるで漫才だった。

Fijuu は Nebula という 3D ゲームエンジンを使って作られているそうだ。 そういえば最近、ゲームエンジンを UI 研究でプロトタイピングに使うという話があったが、 VJ やメディアアートの世界でもゲームエンジンの利用が流行しているらしい。 こうしたゲームエンジンを使ったソフトウェアの情報は、 SELECTPARKSというサイトに集められている。 Fijuu はさらに Open Sound Control (OSC) や Pure Data を使って音を生成しており、 とても面白い事例だ。

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cc の講演。右の写真に写っている WIRED は、Creative Commons ライセンスの曲が収録された CD が付録についた号。

やっと Prodromos が到着、さっそく クリエイティブコモンズについての講演。 話の内容はどれもよく知られた事柄だったのだが、イギリスでの事情についての話が面白かった。 CCUK には BBC からの参加があり、なんでも BBC の公開アーカイブのライセンシングに cc が使えないか、 というような話になっているらしい。NHK でもやんないかな。 (民放連中が「民業圧迫だ」とかいって反発しかねないけど)

最後が VeeJay の Matthijs による "Life Chinema" というパフォーマンス。 写真のように、頭にヘッドランプとビデオトランスミッターを装着し、 手にビデオカメラを持ってフロアの人間や物を次々と撮影し、その映像は逐一 PC に送られ、 加工して再生される。映像の加工には VeeJay と pdp を使っていた。 残念ながら VeeJay 部分との連携がうまく動かず、パフォーマンスは途中で止まってしまった。

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BEK に戻ってみると、ネットラジオの実験の真最中で、一室がラジオ局のスタジオのようになっていた。 ヨーロッパ圏の数ヶ国で順にキー局を回しての放送で、 ディスクジョッキー同士で会話したり同じ Web ページを見ながらの談議になったりと、 ハチャメチャな内容であった。

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右の写真は街中で見付けたポスター。

3日 [id]

そろそろみんな疲れ始めてきたか、なかなか人が集まらない。今日のワークショップは、 pidipVJ という、Pure Data 上で pidip/pdp を使って構築された VJ 用ツールについて、 バルセロナから来た Lluis が説明した。pidipVJ の面白いところは、 VJ コンソールを全て Pure Data および pidip/pdp の GUI 部品で作っているところ。 水平スライダーをクロスフェーダーに使うなど、いろいろな工夫が施されている。 Pure Data のパッチというどうしてもゴチャゴチャして見難く、 操作しにくいものが多かっただけにちょっと驚かされた。

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昼飯のすぐ後に、LiViDO 開発者達で集まってのミーティング。 いくつか重要な決定として、ピクセルフォーマットをどこまでサポートするか、 パラメータパッシングはどうするか、といった内容について議論した。 実は Niels と事前に、 「実装の話から離れて、要求仕様をもうちょっとはっきりさせないとヤバイね。」 という話をしていたのだが、どうしても話が実装ベースに進んでしまう。 今 LiViDO のリーダーが誰なのか今一つはっきりしていないのも良くない。

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午後のワークショップは salsaman による、LiVES についてのもの。LiVES はワークショップ参加者のソフトウェアの中では数少ない、 ノンリニア編集もターゲットとして含んだもの。今回目を引く拡張として、 libvisual という、 音に反応するビジュアライザのサポートが加わった。今後 libvisual の利用は広まりそうだ。

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今日は晩飯の後で、日本から僕が持っていった、神亀一升を電子レンジで熱燗にして、 みんなで hot sake (熱燗)パーティー。

Landmark では、Martin のプレゼンテーション。写真の表示にスライドプロジェクターを使っていた。 こっちの方が圧倒的に綺麗だから、とのこと。Lluis は Gollum プロジェクトについて。 最後は salsaman による LiVES を使った VJ。それぞれの内容は、 疲れてたのでほとんど覚えてない。

4日 [id]

午前のワークショップは、Yves による PiDiP について。PiDiP は pdp 用の様々な拡張モジュール集だ。様々なリアルタイムイフェクトは、 視覚効果を狙ったもののみならず、基本的な画像処理フィルタを各種提供している。 左の写真では、二値化や erosion/dilation フィルタを使った輪郭線抽出の様子を示している。 これらのフィルタをデータフローグラフで構成できるのは、 動画像処理のラピッドプロトタイピングに便利だ。 (関連: MAlib, Improv)

さらに、処理された画像からデータを拾って音楽を演奏するパッチなどが紹介された。

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お昼の後すぐに、Carlo とちょっと離れた輸入食材屋へ。材料さえ揃えば明日の晩御飯に料理を作ろうという魂胆。 何より必要なのは干し椎茸と胡麻油。はたして干し椎茸の方は、 店の主人ですら覚えていなかったところに置いてあるのを Carlo が発見。 問題は胡麻油で、"Sesame Oil" と書いてあるインド産のものを発見したのだが、 どうも雰囲気が怪しい。一応買ってはおく。あとは春雨と、オランダ産の豆腐も購入。 さて、何を作るのでしょうか。

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午後はドイツから来た三人組、Philipp・Martin・Georg による GePhex のワークショップ (「ジーフェックス」と読むそうな)。 みんな若い! 聞けば大学院生だったり卒業したばっかりだったり。

GePhex は、pdp などと同様、処理モジュールを接続してデータフローグラフを組み上げて使うソフトウェア。 VJ 目的に絞って最適化を図っている部分が多々ある。例えば保存されたグラフの一覧が常に左側にリストとして表示されており、 すぐに呼び出せる、など。モジュールがアイコンになっており、この点では Pure Data よりも視覚的に把握しやすい。いろいろと工夫が施されているという印象。 ちなみにサイクリックグラフは許されてはいるものの、ループは1回まで。

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Jaromil が、例の緑のレーザーポインタをどこで買ったのかと聞くから、 ThinkGeek だと答えたら、 「ああ、あそこか。あそこに載ってた、窓に貼りつけるスピーカーが欲しいんだ。」 と言うので、「ああ、これ?」と、たまたま持っていた SoundBug を取り出して見せたら、

「ワォ、驚いた! お前何でも持ってるな。まるでドラえもんみたいだ!

…驚いたのはこっちだ。イタリアでも放映していたんだと。

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パネリストの面々。右は一杯気分の Ole。

今夜の Landmark では、パネル形式で "Between industry and culture, art and business" と題して、オープンソースソフトウェアの開発・利用場面について様々な立場から語ってもらうというもの。 パネリストは先頃市のシステムの一部を Linux ベースに移行した (参考: ZDNet UK の記事) ベルゲン市 CTO の Ole Bjorn Tuftedal、 ノルウェーで作られている教育機関向け Linux ディストリビューション Skolelinux の Vidar Bakke、IBM ノルウェーのセールスマネージャ Bjorn Roksvold、そして Jaromil。

この参加者だとどうしても、IBM の「ビジネス」としての立場が目立つ。 ベルゲン市の Ole と Skolelinux の Vidar はいずれも「コスト面で有利」という立場を崩さない。 一方、パネルの座長を務めた Grethe と Jaromil のどちらも、 オープンソース運動の思想的な側面から発言していたため、議論が噛み合わない。

討論の詳しい内容については、追って別の機会に報告したい。

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パネルの後はジャズバンドの生演奏。

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今日のトークは Daniel Fischer による、ダンスパフォーマンスとの連携についてと、 August Black による UserRadio、 最後に slimboyfatboyslim による "Dreams of Open Source:FFT:TTF"。Daniel は基盤フレームワークに GStreamer を使っているというのが目新しい。Piksel 参加者の中では少数派、 というか Daniel 一人。しかし開発者の規模や動作実績は圧倒的に大きい。 彼が開発してる Warsaw Pakt と、その上で動く pash は要チェックだ。GStreamer の訳のわからないパイプライン構成をシェルライクに制御できる。 コマンドラインでガシガシやるにはいい感じ。

余談ながら、August の使っているドメイン aug.ment.org というのがウケる。 ment.org というのは彼の友人が始めたものらしく、 他にも develop.ment.org だの mo.ment.org だのいろいろ。

5日 [id]


オフィスのすぐ脇を、カモメが飛んでいく

ワークショップももう7日目。今朝はえらく冷え込む。 オフィスに行ってからすぐに近所のスーパーで、今日の晩御飯の買物。白菜5玉、鶏肉4パック、 豚肉のコマ切れ3パック購入。こっちで売っている鶏肉は皮が剥かれてしまっている。 皮つきのはバーベキュー用として冷凍のものが売られていたので、こっちも購入。

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今日は引き続き LiViDO の規格と実装についてのミーティングがあったので、 ワークショップは欠席。たまに Web カメラで Carlo が喋っている様子を見学。

LiViDO は Jaromil がさっさと実装フェーズに移ってしまったので、 みんなで相談しながらヘッダ内に書き込まれたドキュメントを削ったり直したりしていく。

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そろそろ夕食の準備の時間となったので、一人抜け出して台所へ。

今日作るのは、ペンローという名の鍋。すでに書いたとおり、白菜がメインの鍋で、 家では冬の間の定番メニューとなっている。作り方は簡単。まず干し椎茸を鍋でもどし、 そのもどし汁で白菜と肉類を煮る。煮えたら春雨を投入し、頃合を見計らって胡麻油を混ぜる。

が、昨日買った胡麻油、蓋を開けてみたら、全然違う代物! 味の決め手を欠いてしまった。 しかし今更後戻りはできないので、まずは白菜を刻んでいく。 パン切りナイフみたいなものでゴシゴシと…

指先をざっくり切ってしまいました。ああ、包丁で指を切るなんてもう何年もやってないのに…。 ちょっと張り切り過ぎてしまったようです。左手の人指し指の先が真っ平らになっていて、 爪もちょっと持ってかれてしまってます。必死で親指で止血。ざっと流水で洗って、 ガーゼで傷口の周りを覆って対処。ガーゼは傷口に直接あたらないようにするのが肝心。 自然に治癒するのを待ちましょう。結局今日の料理は監督に徹し、 実作業は人にまかせることになりましたとさ。

後で気がついたのだが、実はベルゲン市内では二三日前から、 水道水の汚染騒ぎがあって、生水を飲んではいけないという警報が市から出ていたのだった。 うっかり水道水で洗ってしまったのだが、下手をしたら危いところだったかもしれない。 一応救急セットに入っていた蒸留水で洗浄してはいたのだけど。

さて、晩御飯には、ベジタリアン用の料理も用意しなければならない。 そこでもう一方の鍋には、白菜に加えて缶詰の竹の子水煮と、豆腐を加えてみた。 こちらはまったくの即興で作ってみたのだが、はたしてうまくいくかしら。

はたして鍋は完成!! 結局例の胡麻油は使わず。残念ながらちょっとコク味が足りない。 ベジタリアン鍋の方もまぁまぁのお味。みなさん自分で塩胡椒して食べてくれい、と前説を入れる。 ちなみに左の写真で左手を高々と差し上げているのは決してフィーバーしているのではなく、 あくまで止血のため。さてお味の方は…うーむ。まぁ皆(そこそこ)喜んでくれたからいいか。 飯尾さんが持ってきた泡盛も一瞬で消費された。

お、Annie (slimboyfatboyslim) が「明日は俺が作る!!」と言ってます。 とうとう本物の中華が参入か?

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左が Federico で、右が TeZ。後に写っているのが Protoquadro の画面

夜のセッションは SUb Multimedia の Federico と TeZ によるプレゼンテーション。主に TeZ の Protoquadro についての説明だった。 Protoquadro はこれは本当に素晴しいですよ!! 多数の写真イメージから、 刻々と移り変わるイメージを生成する、新しい映像生成法。コラージュともちょっと違う、 不思議な絵が生成される。これ、写真美術館あたりでいかがですか? 国内で興味のある方は、私までご連絡を。

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続いて、Erich Berger のパフォーマンスで、 "TEMPEST"。

左の写真で、テーブル端に液晶ディスプレイが置かれ、その上に AM ラジオの受信器が 4個載せられているのがわかるだろうか。この受信器は、ディスプレイ内部で VGA の信号をデコードしている部分の真上に置かれており、そこから漏れる電波を拾い、 その音をエフェクターを通してフロアに流している。 従って、画面に表示されている映像を反映した音が場内に流れる訳だ。 ある意味、これは映像の音への直接変換であると言える。 発想のモトはおそらく、Tempest for Eliza という、ディスプレイを使って AM ラジオ信号を発信するソフトウェア。 (参考: TEMPEST Information Page)

画面には、黒地に白い線で、矩形や線で構成された幾何学模様を描き、 それにフィードバック効果を加えたりして再帰的な模様を描いている。 模様や効果は全て Pure Data + GEM を用い、リアルタイムで制御されている。 適当なリズムに沿って映像パターンを展開すれば、音にもリズムが与えられる。 映像の複雑さに比例して、音の構成も複雑になる。これは大変面白い。 原理を知っていればなおさら興味深く見えてくる。家に帰ったら自分でもやってみようかな。

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セッションはさらに Derek らによるパフォーマンスの後、Yves 達のプレイ。 こちらは残念ながら欠席。

6日 [id]

参加者のマシン小特集。写真は、皆いかにして Power Book の林檎マークを消しているか。ステージ上に Power Book を持ち込んだときに、 林檎マークが光っているのは如何にも格好悪い、と思っている人は多い。 他にもダクトテープで貼っただけだったり、×印状に黒ビニールテープを貼ったりと、 いろいろ工夫している。僕も大学の Power Book に何か貼ろうかな。

Rama のコンピューターは、アタッシュケースに ATX のパーツを組み込んだもの。 指差しているところは、板が切り取られて PCI カードの外部コネクタ部分がちゃんと露出するようになっている。

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今日は我が EffecTV のワークショップ。 最近の進展と、30日にやったレーザーポインタパフォーマンスの仕掛についての説明。 この内容については後日別ページにまとめる予定。

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Annie 作の晩御飯。いろんな野菜の「スイスソース」煮。 ちなみに「スイスソース」というのは醤油と砂糖を混ぜたもの。 本来は "Sweat source (甘いソース)" というのを、"Swiss source" と聞き間違えた人がいて、 それが定着したのだとか。

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GePhex の三人

今夜のセッションは、Sara らによるプロジェクト "Visible Sound/Audible Image" のトークに続いて、SUb Multimedia が今度は TeZ のこれまでの作品についてプレゼンテーション。 名作 "Black Industry" を大音響で観られたのが良かった。

そして、ドイツの GePhex 三人組の VJ。 今日はビジュアルだけでなく、音も出すというので見ていたら、 XMMS で懐しの MOD ミュージックをプレイしてました。写真左端の Philipp というのが筋金入りの geek で、 着ているシャツも geek なら ("All your base..." だったし)、 流す曲も geek。

GePhex の制御には、キーボードやマウスの他に、MIDI コントローラや自作のコンソールを使っていた。 このコンソールは、アナログジョイパッドを改造したもので、 ボリュームがそのままゲームポートに繋っているという代物。上の最後の写真が、 GePhex のビジュアルの一シーン。意外とプリミティブな映像も好みらしい。 2枚目の写真は…誰だこんなの撮ったのは。

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GePhex の後で、VeeJay による、こないのパフォーマンス "Life Chinema" のやりなおし。 今回はうまく動いた。

7日 [id]

長かった Piksel ワークショップもとうとう最終日。 今日はもう日中のミーティングはないので、近所に観光に出かけた。 すぐ近くに、ブリッゲン (Bryggen) という古い木造建築が並ぶ小さな町があるのだが、 そこは世界遺産として登録されており、観光名所として名高いらしいので、 冷たい小雨が降る中行ってみた。

町全体、どこもかしこも中世の面影を残す木造建築が立ち並んでいて、 周囲からまったく隔絶されている。ベルゲンの街とはちょっと違う空気が漂っている感じがする。 なんでも少しづつ修復を繰り返して現在の姿があるそうなのだが、 その修復も、昔ながらの手法を忠実に踏襲したものなので、 全体としての統一感を失うことなく存続している。

町中には手作りの民芸品を売っている店もあったりしたのだが、休日のせいかどこも閉店している。 クリスマスシーズンを迎えて店の模様がえも進行中のようだ。

右の写真は、ブリッゲンの近くにある砦の一角。 このあたりは海側からの侵攻に対する防衛拠点であったそうだ。


対岸から BEK オフィスの入ったビルをのぞむ。右端のビルの最上階にある。

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今日の晩御飯はピザ! が、焼くのに時間がかかるため、 しばらくおあずけをくらった面々。

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Landmark でのセッションもこれが最後。今日は Rama のプロジェクトである Burnstation についてのセッションから。 彼等が開発した Burnstation というソフトウェアを使うと、 ネット上のフリーな楽曲を集めてプレイリストを作り、それを CD-R に焼いて 自分用の CD を手軽に構成できるという内容。

そしてその次は、今日オーストリアから到着した、 GulliBloon プロジェクトの三人組によるライブ。 GulliBloon とは、複数の GulliBloon ノード間で、Open Sound Controll を使ってデータを交換をしながら、音と映像の両方をお互いに制御しあっていくことでパフォーマンスを作り上げていくフレームワークだ。 今回は三台のラップトップと、デュアルヘッドのビデオカードを積んだ一台のデスクトップ PC という構成で、プロジェクタ2台を使って横 2画面分の 3D グラフィックを展開していた。


GulliBloon は「グリブルーン」と発音。「バリブルーン」じゃないぞ。ましてや「ドリブルーン」でもない。

結局どういうロジックで音と映像を制御していたのかは良くわからなかったが、 どうも空間内にメッセージとそのネットワークが三次元グラフとして配置され、 グラフのノードやエッジを付け替えていく事で音を制御していたみたい。 音も大変ノイジーで、正直なんだかさっぱり分からなかったものの、 横 2画面のパノラマで拡がる三次元グラフは格好良かった。

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GulliBloon の後は、Open Sound Control (OSC) に対応したソフトウェア同士を接続して、 相互通信しながら VJ をする、"OSC Ganbang" と題したセッション ("ganbang" ってあーた…)。 Daniel が作った、OpenCV を利用した手の動き追跡ソフトが出力する座標データを、 Pix が Fijuu につないで、Fijuu を手の動きで操作できるようにしていた。 こうした相互接続が簡単に設定できるのは OSC の魅力。 OSC の内容を書き換えるプロクシみたいなものも使っていた。これは便利かもしれない。

が、宴もたけなわという時に、Landmark 側とトラブルがあり、追い出されてしまった。 折角僕もレーザーポインタの座標値を OSC で出力するようにプログラムを書き換えていたというのに…。


誰もこれが何のために置いてあったのか知らなかった段ボール製ロボット。勝手にかぶって踊っているのは飯尾さん。

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で、Landmark を出た後は、街中を通って BEK オフィスに戻ることに。 ところがなんだか街が騒がしい。まるでデモ隊でも出ているかのようで、 一人がスピーカーでがなり立て、群衆がそれに応えて歓声を上げているようだ。 どうも目抜き通りのあたりらしい。角を曲がってみると…

わ、何だ、暴動か?

実は今日はサッカーのノルウェーカップ決勝戦があり、ベルゲンの地元チーム "Brann" が勝ち、優勝杯を手にしたのだ。 それで、街を上げての優勝祝いをしているところに出くわしたのだった。 いや、この街にこんなに人がいたなんて。みんなでチームの歌を歌ったり、 大歓声をあげたりしている。Piksel ワークショップの主催者の Gisle も、 一緒になって歌ってるし。というかお前、ワークショップ最終日を意図的に今日に合わせたな?

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さて、みんな無事 BEK オフィスに戻ってきて、酒を飲みまくり、別れを惜しんで語りあっている。 喫煙組はこの寒い中表に出て、モクモクと煙を立てながら騒いでいる。そんな中、 Federico がグラッパ (イタリアの強い酒) を持ち込んできたので、 大喜びで飲んでいたらあっという間に瓶は空になってしまった。

ところで余談ですが、みんな栓抜き無しでビール瓶の蓋をポンポン開けているんですね、 こっちでは。どうやっているかというと、ビールケースの角をうまく使ったり、 手持ちのライターを使ってひょいっと開けてしまうのだ。こりゃ面白いってんで、 開け方を教わる。まず瓶の口を手でしっかり握り締め、次にライターの尻を王冠にあてがう。 で、自分の指を支点にして、ライターに下向きの力を一気にかけると、梃子の原理で開くのだ。 理屈がわかってしまうと何度も試したくなってしまい、ビールを次から次へと開けていくと、 次第に上達はしていくものの、そのビールは当然次から次へと自分で消費していくので、 だんだん酔いが回ってきてフラフラになってしまうのだった。

ふと気がつくと、室内やテラスのあちらこちらで小さなグループが出来上がって、 「いかにして芸術を評価すべきか」とか 「どうやってオープンソースソフトウェアで金を稼ぐか」とか、 それぞれで違った話題で議論していた。僕も議論に参加はしたものの、 さっきのビール開け練習のおかげで、最後の方にはろれつが回らず。

そんなこんなで、明日は早い便の飛行機なので、適当な時間に退散。お疲れー!!

8日 [id]

朝9時に、空港にむかう。車で走っていると、実に風光明媚な風景によく出会う。 水面に霧がかかっていて、朝の光が映えて美しい。空港は少し標高が高いところにあるようで、 次第に霧が深くなっていく。うーん、美しい。

っておい、霧が濃過ぎるよ!! 飛行機飛ばねーじゃねーかよ!! という訳で、朝11時くらい発の飛行機は、キャンセルされてしまいましたとさ。で、 5時間後に飛ぶ次のアムステルダム行きの便に何とか振り替えてもらえたので、 空港で時間を潰すハメに。

そうこうするうちに、次の便に乗るためにやってきた他の Piksel 参加者がやって来たので、 空港でまた見慣れた連中と一緒になることに。アムステルダム在住の面子に加え、 オスロ行きがキャンセルされた slimboyfatboyslim と、 アムステルダム経由でさらにスペインに飛ぶ Yves と Lluis が集結。 「いやーまた会ったね!んじゃ Piksel ワークショップでも始めっか!」とか言いながら、 さすがにみんな疲れた表情。霧は一向に晴れず、この便もキャンセルになりそうな勢いなのだ。

空港の無線 LAN にアクセスしたり、 電源を求めてあちこちを放浪しているうちに霧が薄れてきて、離着陸ができるようになったらしい。 アムステルダムからの飛行機も到着した。やれやれ、やっとこさ飛行機に乗れるぞ。

という訳で、長かったベルゲン滞在もこれで最後。長い長い Piksel 報告にお付き合いくださり、 ありがとうございました。

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今日はアムステルダムに一日滞在。が、夜7時に空港に到着、 さらに飯尾さんの運転で市内に行き、ホテルに到着するまで2時間かかってしまった。 アムステルダム市内は、道がいりくんでいてさらに一方通行は多いは道路のあちこちは工事中だわで、 惨々な目に会った。

その後、アムステルダムからちょっと離れた、Bullewijk という町に住んでいる Matthijs の家に遊びに行った。彼によれば、アムステルダム市内は家賃が猛烈に高いけど、 Bullewijk のあたりは何やらで家賃が大変安いのだとか。 その何やらのところは聞き取れなかったのだが、とにかく駅まで行ってみると…

なんとまぁ、ピッカピカのオフィス街。あちこちにガラス張りのオフィスビルが立ち並んでいる。 が、よく見るとどのビルも明かりがまったく灯っていない。 いくらヨーロッパの人が定時を守るといったって、 オフィス街がここまで真っ暗ということがあるだろうか。

そいでもって、Matthijs の家と案内されたところに着いてさらにビックリ。 なんとオフィスビルの三階をまるまる借りて住んでいるのだ。詳しく聞いてみて、 そのカラクリがやっと分った。なんでもオランダ経済の悪化に伴ない、 都市から離れたオフィス街から企業がどんどん立ち退いており、 空き家になっているビルが増えているのだそうだ。 で、そうした場所を空き家のままにしておくよりかは、格安ででも人に貸して住んでもらった方が、 治安上もメンテナンス上も良く、またアムステルダム市内の住宅事情のさらなる悪化を防げるとかで、 国が補助をして貸しているのだそうだ。元オフィスビルという事でいろいろと不便な面はあるものの (水回りが不便だとか)、東京の住宅事情からは想像もできない、 広い広いフロアを格安の家賃(月1万円程度)で占有できるというのは、うらやましい。 Matthijs は僕より五つ年下の身で、仕事部屋と寝室とが別れていて、 おまけに来客用の寝室まで備え、 ハンモックをぶらさげてソファも二つ三つ置けるような広いリビングがある家に彼女と二人で住んでいるのだ。 自分の現在の住宅事情をしみじみと考えずにはいられなかった。 家族4人で東京都内にお住まいの飯尾さんも隣でしみじみとしていた。

10日 [id]

とうとう東京に戻ってきました。なんと今朝は成田空港も霧のため、 搭乗していた飛行機はしばらく千葉県上空を旋回させられていました。因果だなー。 到着後、いったん家に帰ったのち、いろいろ買物。明日から屋久島なんですが、 どうしてもこの日じゃないと都合がつかない仕事があったので、家でいろいろお仕事。 結局それが終わったのは夜。屋久島行きの荷造りが…。

11日 [id]

海外出張から帰ってきたと思ったら、今日から HIP 出席のため、屋久島へ。 とうとう念願の屋久島上陸ですよ。羽田から鹿児島空港へまず JAL で飛び、 そこから JAC で屋久島へ。鹿児島空港から乗った飛行機は、あの YS-11 でありました。


YS-11 の勇姿。


YS-11 機内装備。何故か山程積まれている例の袋。 シェードは上下二枚あるというのが珍しい。カップホルダーは肘掛けに収納されている

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夕食の席で、先日のレーザーポインタパフォーマンスの研究的側面について発表。 といっても、研究目的とか動機とか、どれも後付けだったりする訳ですが。

12日 [id]

今日で HIP のプログラムは全て終了。明日、飛行機が出るまでの間にみんな観光を済ませるため、 班分けして別行動をとる事に。我々のグループは、屋久杉と清流と苔で名高い、 「白谷雲水峡」に行く事に。実はこの時まで、縄文杉や他の屋久杉の類いは、 車でちょっと行って、そこからちょっと歩いて行けば見られるものだと思っていたのだが、 それはまったくの考え違いで、縄文杉は往復6〜8時間、 手軽なところでも往復2〜3時間の山歩きが必要だということを知らされ、ちょっと愕然とする。 ま、トレッキングは望むところなのでいいんだけど、 ノルウェー行きに歩き用の靴を履いていったので屋久島には底の平たい靴を履いてきてしまうというミスを犯していた。ちょっと不安。

13日 [id]

朝8時にレンタカーで出発。山道を車でどんどん登っていくと、 何カ所かで崖崩れの跡が見られる。そういえば、弥生杉という、 屋久島で二番目に古いとされる杉までの道も、 夏の大雨のせいで崩れていて行けないとか宿に書いてあった。大丈夫かいな。

1時間しないうちに、白谷雲水峡入り口に到着。さていよいよ登りますか、 歩き始めたら、周囲の他のグループの人々は念入りに準備運動をしている。 慌てて我々も準備運動を手抜き気味に行う。よく見れば彼等は格好からして本格的で、 なんだか我々が随分と場違いのようだ。


何はともあれ出発。

それなりに駐車場や入り口が整備された場所なので、 雲水峡の中も整備された歩道があるのかと思いきや、一歩奥に足を踏み入れると、 足がかりのための岩が埋められた登山道がひたすら続いていた。これを登って行くのか…。 森の中はまだ 9時頃だけあってちょっと肌寒い。ゴアテックスのうわっぱりを持ってきたのは正解だった。 が、木の根や岩でデコボコしている登山道を登っていくうちにどんどん体が熱くなり、 昼前には脱いでしまったけど。

さらに登っていくと、どんどん道は険しくなり、またどこが道なのか時々わからなくなる。 目印の赤いテープが道沿いの枝に結ばれているので、それが唯一の頼り。 それでも、ぬかるみを迂回したり沢を横切ったりするとよく見失う。

道々、こんな屋久杉の大木が見られる。やはり現物を見るとその大きさと、 着生植物の多様さに驚かされる。親子杉というのは、杉の切り株に他の杉の種が着生し、 育ったもので、写真の真中あたりがその境目になっている。

一面苔に覆われた岩場。苔というとジトッとして毛足の短かい絨毯のような手触りを想像するが、 ここの苔は一本一本が長くて枝まであり、フサフサとして乾いた感触があるのが面白い。

ヤクシカに遭遇。人を見てもまったく動じないのは慣れているせいか。 苔に覆われた切り株。上から見るとドクロベエのようだ。

山道を歩いていくと、とうとう終着点の峠に着いた。そろそろちょっと足火照り始めてきたが、 ここからさに 700m 程山道を行くと、太鼓岩という見晴しのいい場所に出るそうなので、 馬力をかけて登ることにした。が、この山道がいきなり険しくなり、勾配も急になってきた。 ほとんど整備されていない道をかきわけかきわけ、ひいこら言いながら登っていくと…

突然、視界がひらけた、一枚岩の上に出た。どうやらこれが太鼓岩らしい。 あいにく背中側には森が拡がっているので、360度のパノラマとはいかないが、 180度くらいのパノラマが堪能できる。ちなみに太鼓岩の由来は、 岩に叩くと太鼓のように響くポイントがあるからなのだそうだ。 みんなで足元をトントコ叩きながら探したがわからかった。そのうち、 地元のガイドらしき人がやってきて教えてくれた。杖の先で叩かないと響かないが、 確かにポンポンと小気味良く響くところがあった。

ここで昼飯を食べてから、下山。帰りはあっという間。さて、今度は弥生杉を見に行くことにした。 普段使われているルートは崖崩れで流されてしまったのだが、 代替ルートがあると雲水峡の入り口の管理人の方に教えていただいたので、 そちらを使って見に行きました。

いやー、凄い。木の上部の方は多数の着生植物のせいでまったく見えない。 ただ、写真で見るよりかは弱々しい。周辺の地面を踏み固められたり触られたりで体力が弱っているそうで、 最近では観賞用歩道が設けられ、弥生杉本体の周辺の地面には直接は触れられないようになっていた。

下山してから、いったん空港までついていって、今日お帰りの皆さんをお見送りした後、 単独行動。とりあえず屋久島の南側までバスで移動して、 「尾之間温泉」という公衆温泉浴場に入ってきました。入浴料は 200 円。 ここは本当に銭湯のようなところで地元の方々でにぎわっていた。 洗い場にはシャワーがついてはいるものの、「湯量が足りないため」洗髪にのみ使用して欲しい旨の注意書きがありました。 では体はどこで洗うかというと、湯船の脇にへたりこんで、そこで体を洗うらしい。 湯船に泡が飛ばないよう、ちょっと気をつかう。泉質はなかなかきつい湯で、 それほど熱くはなかったもののちょっと入っていただけで軽い湯あたりがした。 それでも下半身だけ湯に浸して、必死になってふくらはぎや太股を揉んで、 筋肉痛の軽減につとめるのであった。

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あー、いいお湯だった。さて…

おもむろにさっき空港脇の売店で買っておいたガイドブックを開く。携帯電話を取り出し、 巻末の電話帳の番号に電話をかけ、

「あ、こんばんは。今日お部屋空いてますか?

…あぁ、おのれの計画性のなさというか、行き当たりバッタリさ加減がうらめしい。 満室だったり休みだったりでなかなか見付からない。夜9時ともなると少々焦る。 幸い、某ホテルの次に電話した「ペンションハロー」が空いていたので、 そこにお邪魔させていただくことに。 近所の中華料理屋で「モッチョムラーメン」なるご当地ラーメンと餃子で夕飯を済ませてから、 ハローへ。なかなか趣きのあるペンションじゃわいと思って、 ちょっと調べてみたら、日本で2番目にできたペンションだとかいう情報も。 残念ながら夕食を一緒にいただいたりできなかったので、 ペンション特有の楽しみというのは味わえなかったけど、いい宿でした。

14日 [id]

さて、翌朝。昨日の温泉が効いたか、足はわりと大丈夫なようだ。まず Air-H" をつないで、 Web でバス時刻表を探してそのスクリーンショットを JPEG 画像にして、 EXILIM のメモリーカードに入れておく。これで、道中簡単にバス時刻表を見られる。 ペンションハローを出てから、とりあえずトローキの滝へ。

この滝は、河からの流水が直接海へと流れ込む滝で、全国的にも珍しいものなのだそうだ。 もっとも、滝の観覧台から滝までが遠く、いまひとつ迫力がない。

さて、次のバスまで時間があるようなので、近くの千尋の滝も見に行くことに。 これが 3km 程の車道をいったところにあって、普通はタクシーやバスで行くのだが、 「ま、いいか」と徒歩で行く。この辺、まだ学生気分。

千尋の滝は、一枚岩の上を流れ落ちる滝。あたりの岩肌も遠目にはツルツルに見える。 こちらも滝は遠くにあるのでいまひとつ盛り上がりに欠ける。 どうせならナイアガラの滝みたいに、すぐ近くまで行ってみたいよな。 が、このあたりを沢登りしていて転落死した人もいるそうなので、危険なことこの上ない。

道中、猿を何匹も見かけた。このあたりは果樹園が多く、 いたるところ電柵で防護していたのだが、その訳はこれだったか。 それにしてもこいつらは人が近付いても悠然としたもので、まったく動じる気配がない。 ヤクシカといいヤクザルといい、この島の動物は肝が座っている。

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これで屋久島観光もおしまい。空港まで戻り、今度は DHC-8-400 に乗って鹿児島空港まで。 鹿児島空港で黒豚トンカツを食べ、芋焼酎を飲んでから東京に戻る。やれやれ、 これで出張ラッシュも終わりかと思うと体も軽い。

16日 [id]

またまた奥秀太郎の映像に協力。今度は NODA MAP の12月からの公演「走れメルス」です。 さてどうなるやら。というかまだ演出決まってないって?

19日 [id]

久しぶりに、渋谷にある仲本工事の店「名無し」に行ってみたら、 仲本工事本人が入り口すぐのテーブルに座っていた。 奥のテーブルに通されたのですぐ近くでは見られなかったが、 しばらくしてふとそっちを見たら、丼飯を食べていた。またしばらくしてふと見たら、 今度はゲームボーイアドバンスで何かのゲームをやっていた。

27日 [id]

今日は東工大大岡山キャンパスで、IGDA日本開催のゲームテクノロジー研究会があったので、 久々に大岡山へ。今日は namco の二人によるトーク。残念ながら前半には間に合わなかったので、 馬場哲治さんの話は聞けず。

パネルで、東工大の長谷川さんが喋っていたが、 ゲーム技術を大学の研究に乗せるにはどうしたらいいか、なかなか悩ましい。 ようやくエンターテインメントコンピューティングというお題目が研究課題として認知されるようになってきてはいるものの、 研究成果の評価基準とか、まだまだ未解決な問題は多い。僕としては、産学の人材交流の一環として、 ゲーム企業から社会人ドクターとして大学の研究室に人がやって来ると面白いのではないか、と思っている。 大学と企業間で人が行ったり来たりしていると、教員にも学生にも刺激があって良い。 問題は、ゲーム企業が人材をそういう形で出してくれるかどうか。大学に行って博士をとっても、 会社の方にはこれといったメリットがない現状じゃ無理だな。

30日 [id]

シアターコクーンで、「走れメルス」用ソフトウェアの最終調整。 すでに舞台装置はほぼ組み上がっていて、衣裳をつけての舞台稽古中だった。 約2ヶ月間の舞台、納入した PC は無事走り続けてくれるだろうか…。